Parallel Factory MES ユーザーガイド 紹介ページ

管理者向け運用

サーバーの配置、設定項目、バックアップなど、システム管理者向けの情報です。

構成

Webクライアント(Blazor WebAssembly)は、APIサーバー(ASP.NET Core)が同一オリジンで配信します。 利用者側にインストールするものはありません。

コンポーネント 役割
MesApp.Api 業務ロジックとデータベース。Webクライアントも配信します
MesApp.Client.Web ブラウザで動作するクライアント
データベース SQLite(既定。ファイル1つ)、PostgreSQL、SQL Server のいずれか。起動時にマイグレーションが自動適用されます(PostgreSQL / SQL Server を使う)

配布と起動

サーバーに置く方法は3通りあります。1台のPCで試すだけなら、Microsoft Store のデスクトップ版が手軽です (ほかの端末からは接続できないため、現場での運用には下のいずれかを使います)。

方法 向いている場面 入手先
ZIP(自己完結版) Windows / Linux のサーバーに直接置く。.NET のインストールは不要 GitHub Releases の ParallelFactoryMES-<版>-win-x64.zip / -linux-x64.zip
Docker コンテナで動かす(amd64 / arm64) ghcr.io/msmsrep/parallelfactorymes
ソースから発行 手元で改造したものを配る dotnet publish src/MesApp.Api -c Release -o publish

ZIP で起動する

展開したフォルダで、Windows は start.cmd をダブルクリック、Linux は sh start.sh を実行します。 既定のポートは 5000 です。変えるときは環境変数 MESAPP_URLS(例 http://0.0.0.0:8080)を設定してから起動します。

バージョンアップは、サーバーを停止し、展開したフォルダを新しい版に差し替えて起動します。 データはデータ保存先(下記)にあるため、フォルダを差し替えても消えません。データベースは起動時に自動で更新されます。

Docker で起動する

docker compose up -d

リポジトリの compose.yaml を使うと SQLite で、compose.postgres.yaml を使うと PostgreSQL 付きで起動します (.env に POSTGRES_PASSWORD=... を書いてから docker compose -f compose.postgres.yaml up -d)。 ブラウザで http://<サーバーのIP>:8080 を開きます。

  • データベースと署名鍵はボリューム(コンテナ内の /data)に置かれます。コンテナを作り直しても消えません
  • タイムゾーンの既定は TZ=Asia/Tokyo です。業務日付の境界時刻はこの時刻で判定されます
  • HTTPS はコンテナでは扱いません。前段のリバースプロキシで終端し、プロキシのいるネットワークを ReverseProxy__KnownNetworks__0(例 172.16.0.0/12)で指定します(HTTPSで運用する)
  • バージョンアップは docker compose pull → docker compose up -d です

ソースから発行して起動する

dotnet publish/MesApp.Api.dll --urls http://0.0.0.0:5000

ASP.NET Core 10 Runtime が必要です。同じLAN内の他のPCからは http://<サーバーのIP>:5000 でアクセスできます。

Windowsファイアウォールで、該当ポートの受信許可が必要です。 これを設定しないと、他のPCから接続できません。

データベースファイル(mesapp.db)とJWT署名鍵(jwt-signing.key)は、 データ保存先(既定 %LOCALAPPDATA%\ParallelFactoryMES、Linux は ~/.local/share/ParallelFactoryMES、Docker は /data。環境変数 MESAPP_DATA_DIR で変更可) に自動生成されます。 設定値に絶対パスを書いた場合はそのパスを使います。

設定項目

appsettings.json を編集するか、環境変数で上書きします。

設定 環境変数 既定値
DB接続文字列(SQLiteはファイルの場所) Database__ConnectionString Data Source=mesapp.db
DBプロバイダー Database__Provider Sqlite(PostgreSql / SqlServer も可)
データの保存先(DB・署名鍵) MESAPP_DATA_DIR %LOCALAPPDATA%\ParallelFactoryMES(Linux は ~/.local/share/ParallelFactoryMES、Docker は /data)
業務日付の境界時刻 BusinessDay__BoundaryHour 6(午前6時)
監査ログの保持期間(年) Audit__RetentionYears 5
アクセストークン有効期限(分) Jwt__AccessTokenLifetimeMinutes 60
リフレッシュトークン有効期限(時間) Jwt__RefreshTokenLifetimeHours 12
JWT署名鍵ファイル Jwt__SigningKeyFile jwt-signing.key(未存在なら自動生成)
初期管理者の自動作成 MesAdmin__UserName / MesAdmin__Password / MesAdmin__DisplayName 未設定
初期パスワードの自動生成 MesAdmin__GeneratePassword false(デスクトップ版のみ true)
信頼するリバースプロキシのIP ReverseProxy__KnownProxies__0(複数は __1, __2 …) 未設定(転送ヘッダを読まない)
信頼するリバースプロキシのネットワーク ReverseProxy__KnownNetworks__0(CIDR。例 192.168.10.0/24) 未設定

業務日付の境界時刻

BusinessDay__BoundaryHour を変更すると、集計と採番の日付境界が変わります。 たとえば 8 にすると、午前8時が日付の切り替わりになります。 シフトの開始時刻に合わせて設定してください。

無人セットアップ

初期管理者を画面操作なしで作成する場合の例です。ユーザーが0件のときのみ適用され、 初回ログイン時にパスワード変更が強制されます(変更するまで、パスワード変更以外のAPIは使えません)。

$env:MesAdmin__UserName="admin"; $env:MesAdmin__Password="Passw0rd123"; dotnet publish/MesApp.Api.dll

MesAdmin__Password を指定しない場合、初期管理者は作成されません(値を誰も知らない アカウントを残さないため)。パスワードを画面に表示できるデスクトップ版のみ、 MesAdmin__GeneratePassword=true による自動生成を使います。

セキュリティ

アプリ自身はHTTPSを強制しません。 LAN運用では、リバースプロキシ (IIS / nginx)でHTTPSを終端してください(HTTPSで運用する)。

あわせて、カメラによるバーコード読み取りは localhost 以外ではHTTPSが必須です。 HTTPのままではカメラが使えません(USBリーダーと手入力はHTTPでも動作します)。

  • 認証は ASP.NET Core Identity + JWT です。
  • 実績訂正・検査訂正・マスタ変更・在庫調整などは監査ログに記録されます(下記)。
  • パスワード要件は8文字以上、英小文字と数字を含むことです。

HTTPSで運用する

ブラウザからのHTTPSはリバースプロキシ(IIS / nginx)が受け、アプリへはHTTPで中継します。 証明書を持つのはプロキシだけです。

端末のブラウザ ──HTTPS──▶ IIS / nginx(証明書)──HTTP──▶ MesApp(127.0.0.1:5000)

1. 証明書を用意する。 社内LANでは公的な証明書を取れないので、社内CAか mkcert で発行します。mkcert の場合、サーバーで次を実行します。

mkcert -install
mkcert mes.example.local 192.168.10.5

端末から使う名前(ホスト名・IP)をすべて並べます。できた mes.example.local+1.pem(証明書)と mes.example.local+1-key.pem(秘密鍵)をプロキシに設定します。

2. CA証明書を端末に配る。 mkcert -CAROOT で表示されるフォルダの rootCA.pem を rootCA.crt に名前を変えて各端末へ配り、「信頼されたルート証明機関」に入れます (端末で certutil -addstore -f Root rootCA.crt、台数が多ければグループポリシーで配布)。 同じフォルダの rootCA-key.pem は配らないでください(持っている人は任意の証明書を発行できます)。

3. アプリをプロキシからだけ届くように起動する。 HTTPで直接つながれないよう、 ループバックでだけ待ち受けます(アプリはHTTPからHTTPSへのリダイレクトをしません)。

dotnet publish/MesApp.Api.dll --urls http://127.0.0.1:5000

4. プロキシを設定する。 接続元IPとスキームを X-Forwarded-For / X-Forwarded-Proto で渡します。

nginx の例:

server {
    listen 443 ssl;
    server_name mes.example.local;
    ssl_certificate     mes.example.local+1.pem;
    ssl_certificate_key mes.example.local+1-key.pem;
    client_max_body_size 50m;   # CSV・ZIPの一括取込のため

    location / {
        proxy_pass http://127.0.0.1:5000;
        proxy_set_header Host $host;
        proxy_set_header X-Forwarded-For $remote_addr;
        proxy_set_header X-Forwarded-Proto $scheme;
    }
}

IIS の場合は URL Rewrite と Application Request Routing(ARR)を入れ、ARRのプロキシを有効にします。 X-Forwarded-For はARRが付けます。X-Forwarded-Proto はサーバー変数 HTTP_X_FORWARDED_PROTO を 「許可されたサーバー変数」に追加したうえで、書き換え規則で付けます(web.config の例)。

<rewrite>
  <rules>
    <rule name="MesApp" stopProcessing="true">
      <match url="(.*)" />
      <serverVariables>
        <set name="HTTP_X_FORWARDED_PROTO" value="https" />
      </serverVariables>
      <action type="Rewrite" url="http://127.0.0.1:5000/{R:1}" />
    </rule>
  </rules>
</rewrite>

5. プロキシを信頼する設定を入れる。 アプリは、ここで指定した接続元から来た転送ヘッダだけを読みます。 プロキシが同じPCなら次のとおりです(別のPCならそのIP)。

$env:ReverseProxy__KnownProxies__0="127.0.0.1"

この設定が無いと、転送ヘッダは読まれません。 HTTPSでつながっていても、 リフレッシュトークンのCookieに Secure が付かず、監査ログの接続元IPがすべてプロキシのIPになります。 未設定のときに読まないのは、HTTPで直接つないだ端末がヘッダを偽装して接続元を詐称できないようにするためです。

確認: 端末からHTTPSでログインし、監査ログの「ログイン」の接続元IPが端末のIPになっていれば完了です。 127.0.0.1 のままなら手順5の設定が効いていません。

監査ログ

「誰が・いつ・何を変更したか」の記録です。メニューの「監査ログ」から確認できます (システム管理者専用。他のロールにはメニュー自体が表示されません)。

記録される操作

分類 主な操作
Setup 初期管理者の作成
Auth ログイン、ログイン失敗、アカウントロック、ログアウト、パスワード変更
User ユーザーの作成・変更、パスワードリセット、スキル資格の付与
Master マスタの登録・変更・無効化、CSV取込
Production 製造指図の登録・承認・取消・工程展開、差立
Execution 着手、実績登録、実績訂正、作業時間、製造条件データ、完了承認
Inventory 受入、移動、数量調整、ステータス変更、分割・統合・振替、廃棄、ピッキング、出荷、棚卸、取消
Quality 検査実績の登録・訂正・判定・承認、不適合の起票・対応指示・承認、出荷判定
Maintenance 保全計画・保全指示・保全実績、保全手順書の管理
Equipment 設備稼働の記録、治工具の使用実績

数量調整・ステータス変更・訂正・取消など、変更前後をたどりたい操作は「詳細」列に変更前・変更後・理由が 入ります。それ以外は要約が入ります。

絞り込み

期間・分類/操作・対象(種別とID)で絞り込めます。 たとえば「対象の種別」に Lot、「対象のID」にロットの内部IDを入れると、 そのロットに対して行われた操作だけを並べられます。

期間は記録日(サーバーの日付)で絞り込みます。 一覧の日時はブラウザの時刻で表示されるため、サーバーとブラウザのタイムゾーンが異なる環境では 日をまたぐ時間帯でずれて見えることがあります。

削除・改ざんについて

  • 個々の記録は画面からもAPIからも変更・削除できません。記録が増えるだけです。
  • 保持期間は5年です(Audit__RetentionYears で変更できます)。自動削除は行いません(消してよいかは業務判断のため)。
  • 容量が問題になったときだけ、保持期間を過ぎた分をまとめて削除できます(下記)。

古い記録の一括削除

保持期間を過ぎた記録を整理する操作です。監査ログ画面の一番下にあります。 先に下記のバックアップを取得してください。

  1. 「この日まで削除」に日付を、「理由」に削除する理由を入力します(指定日を含めてそれ以前が対象です)。
  2. 削除件数を確認を押します。この時点ではまだ何も消えません。対象件数が表示されます。
  3. 件数を確かめて 「N 件を削除する」 を押すと削除されます。

日付か理由を変更すると件数の確認はリセットされ、もう一度確認し直しになります (確認した内容と実際に消す内容がずれないようにするためです)。

APIから実行する場合は次のとおりです。dryRun=true のあいだは件数を返すだけでDBには触りません。

POST /api/audit-logs/purge?dryRun=true
{ "to": "2020-12-31", "reason": "容量削減のため" }

保持期間の内側は削除できません。 保持期間より新しい日付を指定すると拒否されます (直前の操作の記録を消して隠せてしまうと、監査ログが証跡として成り立たないためです)。

理由の入力は必須で、削除したこと自体(期間・件数・理由・実行者)が監査ログに残ります。 この記録は削除の後に書かれるため、同じ操作では消えません。

PostgreSQL / SQL Server を使う

既定の SQLite は追加インストールが要らず、数十端末規模までならそのまま運用できます。 同時に書き込む端末が多い、データ量が大きい、既存のDBサーバーでまとめて管理したい、といった場合は PostgreSQL または SQL Server に切り替えます。

  1. DBサーバーに空のデータベースと接続用のログインを作ります。 ログインには、そのデータベースでテーブルを作成・変更できる権限を与えます(起動時にスキーマを作成・更新するため)。
  2. Database__Provider と Database__ConnectionString を設定して起動します。
# PostgreSQL
$env:Database__Provider="PostgreSql"; $env:Database__ConnectionString="Host=db;Database=mesapp;Username=mesapp;Password=..."
# SQL Server
$env:Database__Provider="SqlServer"; $env:Database__ConnectionString="Server=db;Database=mesapp;User Id=mesapp;Password=...;TrustServerCertificate=True"
  1. 起動時にテーブルが作られます。ブラウザで開くと、SQLiteのときと同じく初期セットアップの案内が表示されます。 以降のバージョンアップでも、起動時に差分が自動適用されます。

既存のSQLiteのデータは移りません。 切り替えると空のデータベースから始まります。 運用を始める前にどのデータベースを使うかを決めてください。設定をSQLiteに戻すと、元の mesapp.db がそのまま使われます(両者のデータは別々です)。

SQLite との違い

項目 違い
コードの大文字・小文字 SQL Server の既定の照合順序では区別しません(ABC と abc は同じコードとして重複扱いになり、検索も区別しません)。SQLite・PostgreSQL は区別します
日時 PostgreSQL ではUTCで保存されます。同じ時点を指すため、画面表示・集計・CSVの結果は変わりません
小数 小数点以下6桁まで保存します(SQLite と同じ値の見え方になるよう末尾のゼロは落とします)
デスクトップ版 SQLite で使う前提です(1台のPCで完結させる構成のため)

起動しないとき

症状 対処
「不明なDBプロバイダー」で止まる Database__Provider は Sqlite / PostgreSql / SqlServer のいずれかを、大文字・小文字も含めてそのとおりに書いてください
接続のタイムアウト・認証エラーで止まる 接続文字列のホスト名・ポート・ユーザー名・パスワード、DBサーバー側のファイアウォール、SQL Server では TCP/IP 接続が有効かを確認してください
SQL Server で証明書のエラーになる 社内の自己署名証明書のサーバーなら接続文字列に TrustServerCertificate=True を付けるか、信頼された証明書をサーバーに設定してください
権限エラー(テーブルを作成できない)で止まる 接続ログインに、対象データベースでのテーブル作成・変更の権限を与えてください

バックアップ

SQLite

稼働中のDBファイルを単純コピーしないでください。 SQLiteはWALモードで動作するため、コピーしたファイルが壊れる可能性があります。

安全な方法は次の2つです。

  1. サーバーを停止してから mesapp.db をコピーする
  2. 稼働中なら SQLite の VACUUM INTO でバックアップファイルを作る

Docker の場合は、コンテナを止めてからボリュームごと退避します(署名鍵も一緒に残ります)。 ボリューム名は docker volume ls で確認してください(compose では <フォルダ名>_mesapp-data)。

docker compose stop
docker run --rm -v <ボリューム名>:/data -v "$PWD":/backup alpine tar czf /backup/mesapp-data.tgz -C /data .
docker compose start

mesapp.db*(-wal / -shm を含む)をすべて削除して再起動すると、初期状態に戻ります。 検証環境をリセットしたいときに使えます。

PostgreSQL / SQL Server

各データベースの標準の手段でバックアップします(稼働中でも取得できます)。

  • PostgreSQL: pg_dump -Fc -d mesapp -f mesapp.dump(復元は pg_restore)
  • SQL Server: BACKUP DATABASE mesapp TO DISK = N'...\mesapp.bak'(または SQL Server Management Studio のバックアップ)

初期状態に戻すには、データベースを削除して空のデータベースを作り直し、再起動します。

制限事項

項目 状況
PostgreSQL / SQL Server 対応(PostgreSQL / SQL Server を使う)。既存のSQLiteデータを移す機能は無し
Docker化・Zip配布 未対応
HTTPS アプリ側では強制しない(リバースプロキシで終端。HTTPSで運用する)
設備・秤量機からの自動データ収集 未対応(手入力)
EDI / ASN連携 未対応
シリアル番号(個体)単位の追跡 未対応(ロット単位のみ)
多段階承認ワークフロー 未対応(単段階承認)

動作確認

dotnet test ParallelFactoryMES.slnx

APIの統合テストが実行されます。

このガイドの公開について

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